桜井さんのYouTube動画「桜井政博のゲーム作るには」の要点まとめ(ゲーム性編)

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目次

はじめに

この記事は、桜井さんのYouTube動画「桜井政博のゲーム作るには」の要点をまとめたものです。
※桜井さんは「星のカービィ」、「大乱闘スマッシュブラザーズ」の生みの親です。
とても参考になったので、私自身の備忘録のために書きました。

時間のある方は、本記事を読むよりも、桜井さんの動画を視聴することを強くお勧めします。

ゲーム性

リスクとリターン

ゲームにおけるリスクとリターンの概念について解説されています。

  • ゲーム性とは何か、それは駆け引き、リスクとリターンである。
  • リスクとリターンは、ゲームの面白さを理解するための重要な基礎となる。
  • リスクとリターンは密接に関連しており、適切に配置する必要がある。
  • ゲーム性とは、リスクを抑えてリターンを得る楽しさのこと。
  • 攻略とは、リスクを抑えてリターンを得ること。
  • ゲーム性が上がれば一般性が下がるという考え方もある。
  • ゲーム性や駆け引きは、ゲームの面白さの一つの側面であり、全てではない。

ギュッとしてパッと解消

ゲームの面白さの核心にある「ストレス」と「解消」のメカニズムについて解説されています。

  • ゲームの面白さは、ストレスをかけてそれを解消することから生まれる。
  • ストレスは敵や障害、謎など、ゲームを進める上でクリアしなければならない要素によってもたらされる。
  • ストレスを解消した際には、経験値やスキル、ゲーム内通貨などの報酬があると、さらに効果的に楽しめる。
  • ゲームをより楽しむためには、ストレスをかけ、それを解消し、さらに成長できるという流れを見直すことが大切である。
  • 既存のゲームの模倣だけでなく、これらの要素の根本的な意味を理解することで、斬新なゲームが生まれる可能性がある。

RPGのゲーム性

ロールプレイングゲーム(RPG)のゲーム性について解説されています。

  • 危険地帯への侵入
    • RPGでは、奥に進むほど敵が強くなるが、それ以上のリターンを得られる可能性があるため、プレイヤーは無理をしてしまう。
  • リスクとリターンのバランス
    • 敵を倒した際に得られる戦利品を多くすることで、リスクとリターンが成立する。
  • 戦闘
    • 敵の見た目や性質からあたりをつけ、試してうまくいった場合、それを経験にすれば良い。
  • 攻略
    • 相手の弱点を突き、同じ戦力でより良い結果を出すのは攻略である。
  • 弱点
    • 弱点を突くことによる連続攻撃など、ゲームのシステム上で弱点を突くことを促すことで、バランス良く調整されている。
  • ゲームの仕組み
    • 駆け引きに沿ったゲームの仕組みが必要。
  • 既存のシステム
    • 既存のシステムにこだわらず、駆け引きを抽出することが重要である。

ゲーム性以外の面白さ

ゲームの楽しさはゲーム性だけではないという考えのもと、ゲーム性以外の楽しさを持つ7つのジャンルが紹介されています。

  • 操作が楽しいゲーム
    • 操作をするだけで楽しさを感じさせるゲーム。
      現実世界から解放された空間での操作感は、プレイヤーにとって魅力的。
  • アドベンチャーゲーム、サウンドノベル
    • 物語を進めることによる面白さが中心。
      小説や映画のような体験ですが、コンピューターならではのシステムやシナリオ作りが重要。
  • ムービーやストーリー重視のゲーム
    • 映像や物語が楽しいゲーム。
      ゲーム性を盛り上げる要素にもなり、キャラクターや世界観を深く体験できる。
  • 版権物、キャラクターゲーム
    • 作品のファンに向けた商品。
      作品世界を楽しませることが重要で、ゲーム性だけを語るのは不適切。
  • 実在モチーフの再現、リアルシミュレーションゲーム
    • 疑似世界でのごっこ遊び。
      現実世界に近づけることで、ゲーム以上の情報量をプレイヤーに与え、深みを感じさせる。
  • エディット・クラフト系
    • 工作するだけでも楽しいゲーム。
      リスクとリターンを組み合わせることで、さらに面白さが増す。
  • 音ゲー
    • リズムに合わせて音を鳴らすという原始的な喜びに基づいている。
      何度も聞いて馴染んだ曲でプレイすると、さらに楽しめる。

スポーツゲームは、現実のスポーツが持つ駆け引きを再現しているため、すでにゲーム性を持っている。
ゲームの楽しさは多様であり、境界線は曖昧である。

悪魔の釜

「新・光神話 パルテナの鏡」に登場する「悪魔の窯」というシステムについて解説されています。

  • 悪魔の窯の概要
    • ゲーム開始時に出現し、ゲームの難易度(本気度)を決定する。
      初期値は本気度2.0。
  • 本気度の調整
    • ハート(ゲーム内通貨)を投入することで本気度を上げ下げできる。
    • 本気度を上げる
      • 難易度上昇、敵が強力になるが、クリア時の報酬も増加する。
    • 本気度を下げる
      • 難易度低下、クリアは容易になるが、報酬は少なくなる。
  • メリット
    • ハイリスク・ハイリターンの明確化。
    • 難易度調整が柔軟で、行き詰まりにくい。
    • 従来のゲームのような、安易な難易度選択によるゲーム性の低下を防ぐ。
  • 問題点
    • ゲームが常にシビアになりがちで、カジュアルに楽しめない。
    • 3DSの画面サイズとの相性。
    • 本気度を下げることによる難易度調整の周知不足。
  • まとめ
    • 悪魔の窯は斬新なシステムであり、難易度設定における新しい形として参考になる。
    • スマブラシリーズにも同様の要素が取り入れられている。

ズルを許す

ゲームにおける攻略とは何か、そしてゲーム開発において「ズル」をどのように扱うべきかについて解説されています。

  • 攻略とは、プレイヤー自身が損をせずにゲームを進める遊びである。
  • ゲームには、アクションゲーム、FPS、格闘ゲーム、RPG、シミュレーションゲーム、パズルゲーム、ギャンブルなど様々な種類があり、これら全てに攻略の考え方が当てはまる。
  • ゲームは複雑な組み合わせで構成されているため、時には「ズル」ができることがある。
    • ダークソウルでは、特定の場所で敵が自滅しソウルが手に入る現象がある。
    • ドラクエのメタルスライム狩りでは、バランスブレイカー的な要素が、ゲームを面白くし、プレイヤーの印象に残る。
  • リセットチャレンジのように、プレイヤーは必死でズルをしようとする。
  • ゲーム内でできるある程度のズルは許容した方が良い。

浮遊感は落ちてこそ生まれる

ゲームにおける浮遊感の演出について解説されています。

  • 浮遊感を演出するには、まず落下する仕組みやペナルティを加えることが重要。
    例えば、空を飛ぶために何らかの準備が必要であるという設定にするのも良い。
  • 飛ぶゲームでは、気持ちよく空中操作できるようにするだけでなく、それと相反する要素を組み込むことで、初めて浮遊感が実感できる。
    例えば、落下する要素、高速で進むゲームであれば遅くなる要素を加える。
  • 初代エースコンバットを例に挙げると、海にかかる橋の下をくぐりたくなるのは、そこにリスクがあり、クリアした時の達成感があるから。
  • 宇宙空間を舞台にしたフライトゲームは、大気圏内のものよりもまとめるのが難しい。
    また、同じ空戦ゲームでも、高高度で敵を撃つよりも、地上や起伏を舞台にする方がまとまりやすくなることがある。
  • 超能力などで空を飛ぶような動作を気持ちよくするには、対象となる地上や地形に対する仕草を正しくする必要がある。
  • カービィのエアライドでは、地形のギャップを踏み切るとマシンが飛び、踏切ポイントを探す遊びや、飛べるマシンと飛べないマシンを混在させることで、飛んだ時の気持ちよさをより深めている。
  • 何らかの仕様を入れると決めた時は、それに相反する要素も意図的に加えましょう。
    自らの攻撃と敵からの攻撃がセットであるように、リスクとリターンは表裏一体である。

はたして敵は必要なのか

ゲームにおける敵の必要性について解説されています。

  • 多くのゲームには倒すべき敵が登場するが、これはゲームの楽しさを構成する要素の一部。
  • ゲームの楽しさは、ストレスをかけ、それを解消することによって生まれる。
  • 敵を倒すことは障害を排除し、達成感や成長、そしてゲームの進行に対する期待感をもたらす。
  • ただし、敵を倒すことだけがストレスの原因ではない。
    アドベンチャーゲームでの主人公の危機や、ゲーム内でのコストの支払いもストレスとなりえる。
  • 結論として、ゲームから敵を完全に取り除くことは可能だが、ゲームデザインにおいては、ストレスとその解消、そして可能であれば成長と進行の要素を積極的に取り入れることが推奨される。

ごほうび要素はまっ先に

ゲームにおける報酬要素の重要性について解説されています。

  • 敵を倒したり、ミッションをクリアしたとき、報酬を与えることはゲームに不可欠。
  • 報酬はゲームを進めるための欲求の源となる。
  • 報酬には、お金や経験値、スキルポイントなどがある。
  • 素材を集めて何かを作るというのも有効な手段。
  • コレクションやプレイヤーキャラクター、装備なども報酬として考えられる。
  • 報酬を収集する遊びは、楽しくもあり、面倒に感じることもある。
  • ゲームにハマるには、ご褒美は不可欠。

対戦は複雑になるもの?

対戦ゲームの複雑さについて解説されています。

  • 対戦ゲームの複雑さ
    • 対戦ゲームは、プレイヤーがゲームに没頭し、楽しめるように、ある程度の複雑さを持つ必要がある。
  • 初期の対戦ゲーム
    • 初期のアーケード対戦ゲームは、1つのボタンで1つのアクションを実行するものが多かった。
  • ストリートファイター
    • ストリートファイター2は、しっかりとした駆け引きと多くの技を持つことで、対戦格闘ゲームの火付け役となった。
  • ゲームの奥深さ
    • ゲームは奥深さを追求するだけでなく、カジュアルに楽しめることも重要である。
  • ルールの見直し
    • 制作に慣れてしまうと、複雑なルールを当然と思ってしまいがちだが、開発開始のたびにシステムやルールを見直すことが重要である。

落ちものパズルのゲーム性

落ち物パズルのゲーム性について解説されています。

  • ジグソーパズルのようなパズルは、完成させる達成感が主な楽しみであり、駆け引きの要素はない。
  • テトリスは、ペン トミノというパズルゲームを元に考案されたゲームであり、リスクとリターンがあるためゲーム性がある。
  • テトリスにおけるリスクとは、テトリミノが積み上がっていくことであり、リターンはラインを揃えて消すことでリスクを軽減できること。
  • テトリミノの落下速度が上がることや、着手後に回転や移動ができる仕様も、リスクとリターンのバランスに関わっている。
  • 落ち物パズルはシンプルながらも直感的にゲーム性を理解できるジャンルであり、企画を始める際には「消すことがなぜ面白いのか」を考えることが重要。
  • ゲーム性の原理を理解していれば、たとえ苦手なジャンルであっても迅速にアイデアを考えることができる。

やられるとスッキリする?

対戦型FPSゲームにおいて、プレイヤーが倒された時に安心感を抱くという現象について解説されています。

  • 研究結果
    • 海外の研究によると、対戦型FPSで倒された時、プレイヤーは安心感を抱くことがある。
  • 感情移入の対象
    • ゲームキャラクターは必ずしも感情移入の対象ではなく、倒されても落胆しない。
  • リスタートの容易さ
    • リスタートが早く、次々とゲームを続けられるため、倒されたことによるネガティブな感情が尾を引かないことが多い。
  • 最終目的
    • 相手を倒すこと自体が目的ではなく、最終的に勝つことが目的なので、倒しても油断できない心理が働く。
  • 娯楽としての魅力
    • 倒す側も倒される側も面白いと思えることが、娯楽として最高である。
  • 再挑戦
    • 負けた時の悔しさから、プレイヤーは再挑戦を繰り返す動機が生まれる。
  • 対戦の捉え方
    • 対戦は必ずしも制圧による快感だけではない。

単調な坂は山登りにならない

ゲームにおけるキャラクターの成長と敵の強さのバランスについて解説されています。。

  • ゲームにおいて、キャラクターの強さと敵の強さが常に比例している状態は良くない。
    まるで同じ角度の坂を上るようなもので、単調で面白みがない。
  • 理想的なバランスは、困難(ボス)と平坦な場所が交互に現れるような、凸凹のある状態。
  • ボスは、単に強くするのではなく、攻略を考えさせるような配置にし、クリアした際には適切な報酬を与えるべき。
  • 平坦な場所も重要で、敵がいない空間や、稼げる場所を設けることで、ゲームの探索がより楽しくなる。
  • 自由度の高いゲームでは、バランス調整が難しいが、攻略要素をうまく残すことで、面白さを維持できる。

リトライは迅速に

ゲームにおけるリトライの重要性について解説されています。

  • 迅速な再開
    • ミス後の再開は迅速に行うべき。
      これにより、プレイヤーがゲームを投げ出さずに再挑戦する可能性が高まる。
  • プレイヤーを冷めさせない
    • プレイヤーがミスをした後、操作可能になるまでの時間を短くすることで、プレイヤーがゲームから冷めてしまうのを防ぐ。
  • 操作可能になるまでの時間
    • ゲームが動き出すだけでなく、プレイヤーが操作できるようになることが重要。
      メッセージ送りなど、ゲームからのリアクションを早くすることも効果的。
  • 適切な演出
    • ミスした際には、短い時間で派手な演出を入れることで、プレイヤーに「やられた」という感覚を伝えることが重要。
  • 復活直後の注意
    • 復活直後にすぐに敵が襲ってくるような状況は避けるべき。
      難易度が高く、操作する前にやられ続けると、プレイヤーは操作自体を嫌になる可能性がある。
  • ゲームの狙いに応じて
    • リトライの仕様は、ゲームの狙いやペナルティの大きさに応じて適切に調整することが望ましい。

やり直しに見合う魅力はあるのか?

高難易度ゲームにおける「やり直し」の仕組みと、それがプレイヤーに与える影響について解説されています。

  • 近年、デモンズソウルやダークソウルなどの影響で、高難易度ゲームが増加傾向にある。
  • これらのゲームに多く見られる「パーマデス」やそれに近い仕組み(ミスしたらやり直し)は、ローグライクやローグライトといったジャンルでよく見られる。
  • ローグライクは、ダンジョンやアイテムがランダム生成され、死んだらやり直しになるゲームを指す。
  • ローグライトは、ローグライクの要素を含むものの、アクションゲームなど、ジャンルが異なる場合が多い。
  • 「ミスしたらやり直し」の仕組みは、リソースをあまり多く作れないインディー系のゲームに合っている。
  • しかし、プレイヤーは常に同じものを繰り返して遊びたいわけではない。
    ゲームを先に進めるには、先を見たいという動機が必要。
  • そのため、ゲーム内には、先を見たいと思わせる魅力が必要。
    魅力がないのに変化もない場合、プレイヤーは飽きてしまう。
  • 難易度に関しても配慮が必要。
    想定よりも多くのプレイヤーが詰まっている場合、同じ景色を見続けている可能性がある。
  • ダークソウルのように、プレイヤーが強い気持ちで先に進めるゲームもあれば、開発者への信頼によって成り立っているゲームもある。
  • システムだけを真似て、プレイヤーに期待感や動機付けを与えないタイトルは、プレイし続けられない。
  • ゲームのボリュームや展開などを考慮し、プレイヤーがどのくらいで先に進めるかを想定すべき。
  • 作り手としては、作品ごとにどこまでの魅力を提供できるのかをよく考えるべき。
    特に、同じ場所で何度もやり直してしまった時のことを想定すべき。

シューティングゲームのゲーム性

シューティングゲームのゲーム性について解説されています。

  • ゲーム性とは、リスクを冒すとリターンを得られる駆け引きのこと。
  • ダライアスというシューティングゲームでは、画面が横長な上、画面上に出てくる弾数が少ない。
    スクロールの後方にいると弾切れを起こすが、前方にいると連射が効く。
    敵から離れてリスクを抑えると、敵に当たる弾数も少なくなってリターンが少なくなる。
    逆に敵に近づきリスクを冒すと、早く倒せる。
  • グラディウスなどのパワーアップシューティングでは、ぶつかるとミスになる地形にいる敵を倒すことによるリスクとリターンがある。
  • ゲーム性が高いことが全てではないが、一味違うゲームを作るには、なぜそれが面白く感じられるのかを考えることが重要。

ゲーム性を上げると、一般性が下がる

ゲーム性におけるリスクとリターンのバランスについて解説されています。

  • ゲーム性とは
    • ゲームを楽しく刺激的にするもの。
  • ゲーム性と一般性
    • ゲーム性を高めすぎると、一般の人がプレイしにくくなる可能性がある。
  • リスクとリターン
    • リスクとリターンは比例する傾向があり、リスクが高いほどリターンも大きくなる。
    • 初心者向けにリスクを軽減すると、ゲームの面白さが損なわれる可能性がある。
  • 具体例
    • スーパーマリオ:敵との接近戦でのリスクとリターンのバランスが特徴。
    • 星のカービィ:敵を吸い込むことでリスクを軽減し、遠距離攻撃もできるようになり、初心者でもプレイしやすい。
  • ターゲット層
    • ゲームの企画やコンセプトに合わせて、ターゲット層を意識する必要がある。

昇竜拳コマンド

ゲームにおける昇龍拳コマンドの重要性について解説されています。

  • 昇龍拳の起源と進化
    • 昇龍拳は、初代ストリートファイターで最初に登場した。
      初期の昇龍拳は非常に強力だったが、出すのが難しく、ストリートファイター2でコマンドが簡単になり、多くの人に使われるようになった。
  • 昇龍拳コマンドのリスクとリターン
    • 昇龍拳コマンドは、スティックを前、下、斜め下に入れてから攻撃ボタンを押すことで発動する。
      このコマンドは、相手に近づく、しゃがみガードができなくなるなど、リスクが高いですが、成功すれば強力な対空技となる。
  • 昇龍拳のゲーム性
    • 昇龍拳は、根元が強く、出始めに無敵時間があるため、相手を引きつけるほど有利になる。
      コマンドの難易度、タイミング、空振り時のリスクなどが絶妙に組み合わさっており、ゲームの駆け引きを深めている。
  • スマブラにおける昇龍拳
    • スマブラでは、リュウやケンなどが昇龍拳コマンドを使用できる。
      コマンド入力で出すと、ボタン1つで出すよりも威力や無敵時間が優遇されている。
  • コマンド入力のバランス
    • ゲーム性を考えると、コマンド入力を必須にした方が良い場合もあるが、カジュアルユーザーにとっては難しすぎるため、バランスを取る必要がある。
      スマブラでは、多くの人が昇龍拳を出せるように、ワンボタンでも出せるようになっている。

ランキングの功罪

オンラインランキングの利点と欠点について解説されています。

  • ランキングの良い点
    • 目標意識を持たせることができる。
    • マッチングで同じぐらいの実力の人を探す指標になる。
  • ランキングの悪い点
    • 永遠に悔しさを味わうことになる。
    • 頑張っても順位が低いとやる気が出ない。
  • スマブラの世界戦闘力
    • スマブラでは、世界戦闘力という仕組みで、逆引きランキングを用いている。
      これは、世界中のプレイヤー人口の中で、自分がどれくらいの強さなのかを数値化したもの。
  • VIPルーム
    • スマブラでは、VIPルームというものを設け、上位者に選ばれし者である満足感を与えつつ、上位者同士が対戦することで、ランキングが低い人に対する流入を防ぐことができる。

遊びって、何?

ゲームの面白さの本質について解説されています。

  • 遊びの4つの要素
    • アゴン (競争)
      • スポーツや対戦ゲーム。
    • アレア (偶然)
      • ギャンブルやランダム。
    • ミクリ (模倣)
      • シミュレーションや職業ゲーム。
    • イリンクス (眩暈)
      • ジェットコースターや高速スクロール。
  • ゲームにおける駆け引き
    • 主にアゴン(競争)を指し、必殺の一手が勝敗を分ける要素。
  • 遊びの重要性
    • 訓練としての遊び
      • 遊びは人が活力を得て生活するための訓練。
        運動、反射、考察、知性、感情、ルール、社会など、様々な無形の価値を与えてくれる。
    • 癒しとしての遊び
      • 生産行為や仕事とは関係なく、意味のないことに喜びや楽しさを見出すこと。
        人が人らしく暮らしていくための試み。

キャラゲームはらしさが第一

キャラクターゲーム(「見物」ゲーム)が、なぜ通常のゲームと比べて面白くないと言われがちなのか、そして、そのようなゲームに求められることは何かについて解説されています。

  • 見物ゲームの難しさ
    • 原作がゲームデザインの制約になる。
    • ストーリーや設定の変更が難しい。
    • 原作をなぞるストーリーはネタバレになる。
  • 見物ゲームに求められること
    • 原作らしさ。
    • ファンの期待に応えること。
    • 製品群の一部としての役割。
    • ゲームとしての面白さは優先順位が低い。
  • 成功例と例外
    • 女神転生・ペルソナシリーズは、原作の設定がゲームと相性が良かった。
    • スマブラはキャラクターゲームだが、キャラクター性や設定の変更には制約がある。
    • スマブラにおけるフォックスやキャプテン・ファルコンは、原作での行動が少ないため、技を比較的自由に考えられた。

アクションゲームのゲーム性

アクションゲームにおける様々なゲーム性を、リスクとリターンの観点から解説されています。

  • ジャンプ
    • 崖のギリギリを狙うほど大きな穴を超えられるが、落下のリスクが高まる。
  • ダッシュ
    • 素早く移動できるが、制御が難しく、隙が生じやすい。
  • 敵に近づく
    • 攻撃できるが、敵から攻撃を受けるリスクが高まる。
  • 重火器で敵を撃つ
    • 一方的に攻撃できるが、弾数などのリソースを消費する。
  • 回避
    • 相手の攻撃を寸前で交わせるが、行動の自由が制限される。
  • 隠れる
    • 敵から見つかりにくくなるが、攻撃の機会を失う。

これらの要素は全て、危険とチャンスが表裏一体となった「リスクとリターン」の関係で成り立っている。
これらのゲーム性の意味を考えることで、より面白いゲームを作れる可能性が広がる。

作業ゲームを面白くするには

駆け引きやリスクといった従来の「ゲーム性」の要素が少なくても面白いゲームについて解説されています。

  • カーメカニックシミュレーター
    • 車を良い状態に保つという目標に向かって没頭できる。
  • クッキー クリッカー
    • 指数関数的に増加するクッキー生産量が、独特の世界観を作り出す。
  • ハウス フリッパー
    • 部屋が片付く様子が心地よく、自分の家をリフォームしているような感覚になる。
  • パワー ウォッシュ シミュレーター
    • 高圧洗浄機で汚れを落とすだけのシンプルなゲームだが、綺麗になっていく過程が楽しい。

これらのゲームに共通する要素は、

  • 現実世界の何かをモチーフにしている
  • 何かを「儲ける」要素がある
  • 黙々とプレイしてしまう

これらの要素が組み合わさることで、プレイヤーは仕事や単純作業を楽しいと感じ、相乗効果によってさらにゲームに没頭する。明確なエンディングがない場合は、割り切って先が見えないほど遠い目標を設定するのも有効。

駆け引きがなくても面白いゲームを作るには、仕事、儲け、パワーアップのバランスが重要であり、そこに遊び心が加わるのが理想的である。

クリアできないよりマシ

ゲームの難易度設定について解説されています。

  • ゲームの面白さと難易度
    • ゲームは、勝ち負けがギリギリの時に最も高いカタルシスを得られる。
      しかし、難易度が高すぎるとクリアできずに挫折してしまう可能性がある。
  • 難易度調整の重要性
    • 昔ながらのRPGでは、レベル上げで解決できる。
    • アクションゲームなどでは、難易度を下げる、難しいステージをスキップするなどの救済策がある。
    • ゲームの根本的な楽しみを損なわない範囲で、クリアできないよりはマシな救済策が必要。
  • ゲームデザイナーの視点
    • プレイヤーには優しくしたいが、ヘビーゲーマーとしてはギリギリの戦いを求めたい。
    • 屈辱感がない範囲で、何らかの救済策を持たせることを推奨。
    • ゲーム中に難易度変更できるだけでも、だいぶ違う。
  • 結論
    • 親切を無視してヒリヒリした戦いをさせるのもコンセプトだが、ユーザーがついてきてくれると思わない方が良い。

強制感と攻略バランス

ゲームにおける強制感と攻略バランスについて解説されています。

  • 攻略方法の明確さ
    • 敵の弱点をマークして表示するなど、ボス攻略法が明確な場合がある。
    • 製作者が意図した攻略ルートは、チュートリアルのように感じられることがある。
  • 自由度の重要性
    • プレイヤーが自由に攻略できるゲームが好まれる傾向がある。
    • 悪魔城ドラキュラシリーズのように、武器や攻略法が自由なゲームもある。
    • プレイヤーの数だけ攻略法がある。
  • ゲームデザインの多様性
    • 明確な攻略法を見つけるゲームも、多彩な武器から最適なものを選ぶゲームも、どちらも正解である。
  • ゲームデザイン
    • ゲームのシステムに合うようにバランスを取ることが重要。
  • ゼルダの伝説
    • 「ブレス オブ ザ ワイルド」では、強制的な攻略法は少なかった。

戦略シミュレーションのゲーム性

戦略シミュレーションゲームのゲーム性、特に駆け引きについて解説されています。

  • 戦力と駆け引き
    • 同じ戦力同士がぶつかると引き分けになりがちですが、戦略によって有利に戦うことができます。
      これは、じゃんけんのように三すくみの関係を利用し、組み合わせを変えることで圧勝を狙うという考え方に基づいている。
  • パワーと特性
    • 各ユニットのパワーや特性の差がゲームを深める。
      例えば、特定のユニットが他のユニットに対して有利または不利であるといった要素。
  • ランダム要素
    • ランダムで攻撃を避ける仕組みは、ゲームの不確実性を高めますが、排除することも可能。
  • 攻撃範囲
    • 将棋やチェスのように、ユニットの攻撃範囲によって駆け引きが生まれる。
      マップ兵器や射程距離なども同様の要素。
  • 戦略性
    • 考えることやできることを増やすことで戦略性は増しますが、ユニットの長所と短所を適切に設定することが重要。
  • ゲームの演出
    • 戦略がうまくはまった時の気持ちよさを演出するために、ユニットの性能と相性を突き詰めることが大切。

どれぐらい良いことをした?

ゲームの難易度や報酬、ペナルティを決定する際に、プレイヤーがどれだけ良いことをしたのかという考え方に基づいて検討することについて、解説されています。

  • ゲーム内で取り返しのつかないことをした場合、それに見合ったペナルティを与えるべき。
    ただし、挽回が可能かどうか、またそのためにどれだけの労力が必要かを考慮する必要がある。
  • ゲーム内での行動や成果は適切に反映されるべき。
    例えば、スマブラでの弱攻撃とスマッシュ攻撃の違いや、スコアを競うゲームでの敵の強さに応じた得点設定などが挙げられる。
  • 攻撃する場所によってスコアやダメージが異なるといった要素も、「どれぐらい良いことをしたのか」という考え方で整理できる。
  • ただし、この考え方を適用しすぎるとゲームが丸くなり、刺激を損ねる可能性があるため、常識感を軽く覆す程度に留めるべき。
    例えば、例えばドラクエのメタルスライムのように、定石を大胆に変えて大儲けできる敵を設定し、倒しにくくすることでレア感を演出する方法も考えられる。

長所を伸ばし、短所も伸ばす

ゲームバランスの調整について、スマブラを例に挙げて解説されています。

  • バランス調整のプロセス
    • バランス調整担当者は、対戦を繰り返したり、オンラインでの対戦成績を参考に要素を調整する。
  • バランス調整で起こりがちな問題点
    • 特定の強みが強すぎる場合に、その部分を削ったり、弱点を補おうとすると、ファイターの性能が似通ってしまい、個性が失われる可能性がある。
  • 理想的なバランス
    • 強みと弱みを持ち、賛否両論がある状態が望ましい。
      これにより、プレイヤーは自分の好きな要素を見つけ、ゲームに多様性が生まれる。
  • 調整の具体例
    • 技の調整においては、攻撃力だけでなく、発生速度、持続、フォロー、当たり判定など、様々な要素を考慮する必要がある。
      例えば、攻撃力が高い技のフォローを長くしたり、判定を小さくするなど、複数の要素を組み合わせて調整する。
  • 多様性の重要性
    • 技の種類が多いゲームでは、バランスを均一にするのではなく、でこぼこにすることで、プレイヤーは自分の好きなものを見つけやすくなる。

ハンデをつけてバランス調整

アクションゲームのバランス調整、特にいわゆる「死にゲー」のような攻略が難しいゲームの調整について解説されています。

  • 開発スタッフはゲームに慣れているため、彼らがギリギリクリアできるレベルに設定すると、難易度が高すぎる可能性がある。
  • 開発スタッフの中で、平均的な腕前の人に合わせて調整するのが良い。
  • ゲームに慣れていない人をテストプレイヤーとして呼ぶのが理想的だが、時間的な制約がある。
  • 開発者は、自分たちが考えるよりも難易度を下げる必要がある。
  • 片手でプレイするなどのハンデをつけることで、難易度を調整することができる。

さいごに

桜井政博のゲームについて思うこと Think about the Video Games

◆ 桜井政博のゲームについて思うこと2 Think about the Video Games

◆ 桜井政博のゲームについて思うこと DX Think about the Video Games 3

◆ 桜井政博のゲームについて思うこと X Think about the Video Games 4

◆ 桜井政博のゲームについて思うこと 2015-2019

◆ 桜井政博のゲームを遊んで思うこと

◆ 桜井政博のゲームを遊んで思うこと2

◆ 桜井政博のゲームを作って思うこと

◆ 桜井政博のゲームを作って思うこと2

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